過去から未来へつなげよう
生浜地区はこのように歴史のある地域ですが、このことを語り継いでいる人も殆どいません。また川崎製鉄千葉製鉄所(現 JFEスチール東日本製鉄所千葉地区)が千葉市にできたことを契機に、多くの人々が移り住んできて、都市型の町に変貌を遂げました。多くの優秀な人材がこの町に来たにも関わらず、その人々と古くからいる住民との融合は決して上手く行ったとは言えません。

住民自治会の運営の側面を見ても、巧拙の差があり、その差は顕著に現れています。近年、改善の傾向がいくらか見られるようになったとはいえ、それは同時にこの地域の歴史を語り継ぐ、大切な機能の欠損と同時に起きている現象と言わざるを得ません。多様性を維持した上での結束ではなく、主体性の無い形での融合が、徐々に進んでおり、その結果、行政に対しての意思表示も住民自治としてはうまく機能していない現実があります。

考えを持った方々の間で話し合えば、問題点は誰しもが認識しあっているのがわかります。しかし現実にそれを良い方向に変えることは簡単ではありません。変えること自体に対するアレルギーが働くからです。そんなことを繰り返すうち、意見を言わないことが楽な生き方であることが、周知の内容となり、健全な意見ほどなかなか発せられなくなりつつあります。

でも人間の持つ技術が進んでいく以上、本当は社会もそれに合わせて変化させなくてはならないのです。自分達が変わることなく存在を続けるために、社会を変化させなければならないという、逆説的な命題にぶつかっているのですが、それを行うには世代間の協力も必要です。若い世代は変革のためのエネルギーを出し、経験を多く積んだ世代は若い世代に守るものは何かを伝えて行かなければなりません。このバランスがうまく働かないと、若い世代は単なる破壊者に、経験を多く積んだ世代はただの抵抗勢力にしかならなくなります。

住民自治会の大切なことは、それぞれの地域にある集会所(公会堂、公民館、会館 等)で決められる場合がほとんどです。例えば、南生実町内会では南生実町公会堂で町内会の役職者と各班の班長(以前は会長、副会長、会計の三役と各組の組長)が集まって行う会議で議論されます。

このような場所が住民自治の原点です。しかし成文律としての会則の未整備や、会則通りの運営実態が無いこと等、住民自治には「政治」のような厳粛性が求められない不適切な側面があり、その観点では到底、21世紀の現代とは言えない内容です。

南生実町公会堂は老朽化を原因として、建て替えられます。それには地域住民も千葉市もその資金を負担します。しかしこの21世紀のICT社会の中においては、このような地域集会所の役目は相当失われています。集会所機能のためだけの再整備をするならば、本質的な無駄になるでしょうから、器が出来上がったからにはそれを生かす運用の知恵も必要となるでしょう。

無駄をさせない代替案として、近隣の「千葉市埋蔵文化財調査センターの柔軟な利用が行えるように、制度を組み替えること」があります。そうすれば南生実町公会堂の建て替えは不要となります。しかしそれに関しての意見集約をするのに、ICT技術が適切に運用されてなければ、やはり集会所が必要であり、鶏が先か卵が先かの話になります。どうせ建て替えするのならば、郷土史の語部(かたりべ)を招いて若者がそれを拝聴して、後世に伝える情報資産化を図る場にするのも新しい利用法の一案です。過去から未来に繋ぐことこそが住民自治の基本なのですから。
八剱神社脇の南生実町公会堂(1999年撮影)
 

 
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